- NBAを数字を使って分析したい…
- ポジションごとの得点の違いを数字を使って分析したい…
- スター選手ってどれくらいすごいの?
こんにちは!しゅんです!
今回は2023-2024レギュラーシーズンのNBAを振り返っていこうと思います!
図やグラフをたくさん使っているのでこの記事を読めば2023-2024シーズンの得点に関する分析が一目でわかります!
それではやっていきましょう!
分析に用いるデータ
今回分析をするに当たって、Basketball-Reference.comのデータを使用しました。使用したデータは
「Per Game」:1試合当たりの基本スタッツ
「Advanced」:アドバンスドスタッツ
の2つです。なお、今回はレギュラーシーズンのデータを使用し、どちらのデータも572人の選手を扱っていました。
Basketball-Reference.comでは、トレードにより複数のチームに在籍した選手はそれぞれのチームでのスタッツデータと全部合わせたスタッツデータの両方が載っていましたが、今回は全部合わせたスタッツデータのみを使用しています。
NBAの選手は1試合にどれくらい得点を取っているのか
2023-2024シーズンの得点王
試合数:70
得点数:33.9
アシスト数:9.8
リバウンド数:9.2
FG%:48.7%
3P%:38.2%
FT%:78.6%
2023-2024シーズンの得点王はルカ・ドンチッチ選手で1試合平均33.9点でした。では一般にNBA選手は1試合に平均何点くらい取っているのでしょう?
NBA選手の平均得点のグラフ
上のグラフはNBAの選手が1試合にどれくらい得点しているかを表したグラフです。横軸が得点、縦軸が人数を表しています。また縦線はそれぞれ
青線:NBA選手の25%は平均3.4点以下
緑線:NBA選手の50%は平均6.4点以下
橙線:NBA選手の75%は平均11.7点以下
紫線:NBA選手の得点数の平均値は8.4点
ということを表しています。個人的な感想としては、全体的に思っていたよりも低いな~という感じです。NBA選手のうち平均12点以上取っている選手が全体の25%もいないというのはかなり驚きました。
八村選手の平均得点はNBA全体の上位20%
2023-2024シーズンの八村塁のスタッツ
試合数:68
得点数:13.6
アシスト数:4.3
リバウンド数:1.2
FG%:53.7%
3P%:42.2%
FT%:73.9%
2023-2024シーズンの八村選手の平均得点は13.6点で、この数字はNBA全体の上位20.1%になります。これを見ると八村選手の得点力がかなりすごいことが分かります。
NBA選手のシュート効率はどれくらいなのか
2023-2024シーズンのFG%が最も高い選手
試合数:55
得点数:8.8
アシスト数:1.1
リバウンド数:6.9
FG%:74.7%
3P%:0%
FT%:50.6%
2023-2024シーズンのFG%が最も高い選手はデレック・ライブリー2世で、74.7%の成功率でした。しかしシュート効率と言ってもそれがFG%なのか3P%なのかFT%なのか色々ありますよね。そこで登場するのが
TS%(True Shooting pecentage)
です。
TS%はFGとFTをひっくるめたシュート効率を表す
TS%はFG(フィールドゴール)とFT(フリースロー)を考慮したシュート効率を表します。計算式は下記の通りです。
TS%の計算式:
\(TS\text{%} = \frac{PTS}{2\times (FGA+0.44 \times FTA)} \times 100\)
\(PTS\):総得点数
\(FGA\):FG(フィールドゴール)試投数
\(FTA\):FT(フリースロー)試投数
例えば2023-2024シーズンの八村選手の各スタッツは
総得点数:923得点
FG試投数:676本
FT試投数:134本
なのでTS%は
\(TS\text{%} = \frac{PTS}{2\times (FGA+0.44 \times FTA)} \times 100\)
\( = \frac{923}{2\times (676+0.44\times134)}\times100\)
\( = 62.79…\)
と計算でき、八村選手のTS%は約62.8%であることが分かります。
TS%と平均得点の分布のグラフを見てみる
上のグラフは各選手を、横軸が平均得点、縦軸がTS%としてグラフにしたものです。これを見ると平均得点が低い左側の選手たちは色んな所に散らばっていますが、平均得点が大きくなってくるとだいたいTS%が60%くらいになっていますね。
それでは平均得点が20点以上の選手達に関して、より詳しく分析していきましょう。
平均得点が20点以上の選手達のTS%を見てみる
平均得点が20点以上の選手の数:50人
TS%の最大値:65.0%(二コラ・ヨキッチ)
TS%の最小値:54.6%(パオロ・バンケロ、ケイド・カニングハム)
平均得点が20点以上の選手達の中で、TS%が最も高いのは二コラ・ヨキッチ選手で65.0%でした。
またガードの中で最もTS%が高いのはシェイ・ギルジャス・アレクサンダー選手で63.6%でした。上位12位の中でガードの選手はSGAだけで、彼のシュート効率の良さが分かります。
ちなみにヨキッチ選手とヤニス選手はTS%が0.1%しか変わりませんが、PTS, FGA, FTAの内訳をみると結構違いがあります。
二コラ・ヨキッチ
PTS | 26.4 |
FGA | 17.9 |
FTA | 5.5 |
ヤニス・アデトクンボ
PTS | 30.4 |
FGA | 18.8 |
FTA | 10.7 |
上の表を見ると以下のことが分かります。
ヨキッチ:
1試合平均17.9本のシュートと5.5本のフリースローを打ち、平均26.4点を得点している。
ヤニス:
1試合平均18.8本のシュートと10.7本のフリースローを打ち、平均30.4点を得点している。
傾向としてはヤニス選手の方がたくさん得点しているが、その分シュートとフリースローをたくさん打っているということが分かります。
ポジションごとの得点数と得点効率はどう違うのか
ポジション | 得点数(中央値) |
PG | 6.90 |
SG | 6.20 |
SF | 5.70 |
PF | 6.45 |
C | 6.50 |
ポジション | TS%(中央値) |
PG | 54.35% |
SG | 55.40% |
SF | 56.15% |
PF | 56.90% |
C | 61.90% |
箱ひげ図の基本的な見方は、下から順に、最小値、上位75%のライン、上位50%のライン、上位25%のライン、最大値となっています。
例えば上位50%のラインがちょうど6点だとしたら、NBAの選手の半分は6点以上得点しているということを表しています。この50%のラインを特別に中央値と呼びます。
ただ例外として、一定の基準を上回る(もしくは下回る)と外れ値として表示されます。上図だと最大値のさらに上に外れ値がありますね。
各ポジションの得点数とTS%を箱ひげ図と表にしてみました。得点数の方は若干PGが高いかなという印象を受けますが、あまりポジションごとの差が見えません。
一方でTS%の方はポジションがガード、フォワード、センターになるにつれて大きくなる傾向が見られます。これはポジションが大きくなるにつれてゴールに近い所からシュートを打つ割合が増えるからかもしれません。
ちなみに前章の「平均得点が20点以上の選手達のTS%を見てみる」の所で50人の選手のTS%を紹介しましたが、各ポジションの内訳は以下の通りです。
ポジション | PG | SG | SF | PF | C |
人数 | 15 | 9 | 5 | 14 | 7 |
ただTS%が高い上位15人の選手だけを見てみると
ポジション | PG | SG | SF | PF | C |
人数 | 3 | 0 | 1 | 7 | 4 |
と、PFとCが15人中11人を占めています。
スター選手の得点スタッツはどれくらいすごいのか
ポジションごとのリーグの平均値
上図はポジションごとに得点数とシュート効率のリーグ平均値がどれくらいなのかを表したレーダーチャートです。各項目はそれぞれ
PTS:得点数
3P%:3Pシュート成功率
2P%:2Pシュート成功率
FT%:FTシュート成功率
FG%:フィールドゴール成功率
TS%:True Shooting percentage
を表しています。
得点数(PTS)以外のスタッツはそのまま使用し、得点数(PTS)は最大値が1になるようにデータを変換しています。
この平均値とスター選手のスタッツを比較して、どれくらいすごいのかを見てみましょう。
ルカ・ドンチッチとリーグ平均を比較
左図はポイントガードの平均値とルカ・ドンチッチ選手のスタッツを比較している図です。これを見るとFT%以外は全てポイントガードの平均値よりも高いですね。特に得点数(PTS)は一目で違いが分かります。
それ以外にも2P%がかなり高いですね。2023-2024シーズンのドンチッチ選手の2P%は57.3%ですが、これはリーグのPFの2P%(55.2%)よりも高いです。(Cは60.8%)ガードながらこの数字を出しているということは、いかに効率よく得点をしていたのかが分かりますね。
ステフィン・カリーとリーグ平均を比較
左図はポイントガードの平均値とステフィン・カリー選手のスタッツを比較している図です。これを見ると6つの項目すべてでPGの平均値より上回ってることが分かります。
特にFT%がかなり高いですね。2023-2024シーズンのカリー選手のFT%は92.3%で、これは平均得点が20点以上の選手の中で1番高い数値です。(2位はダミアン・リラード選手の92.0%)
また平均得点が20点以上のガードの選手は24人いますが、TS%の値も24人中3位でした。
ケビン・デュラントとリーグ平均を比較
左図はパワーフォワードの平均値とケビン・デュラント選手のスタッツを比較している図です。これを見ると6つの項目すべてでPFの平均値より上回ってることが分かります。
デュラント選手はシュート効率が良いスコアラーというイメージがありますが、それは数字でも表れていますね。平均得点が20点以上のフォワードの選手は19人いますが、その中でデュラント選手の各スタッツの順位は
PTS:2位
FG%:6位
3P%:4位
2P%:7位
FT%:6位
TS%:4位
となっており、どれも高水準です。得点数が2位でありながらどのシュートも効率的に決めているのがすごいですね。
ヤニス・アデトクンボとリーグ平均を比較
左図はパワーフォワードの平均値とヤニス・アデトクンボ選手のスタッツを比較している図です。これを見ると3P%とFT%が平均よりも低く、それ以外のスタッツは平均を上回っていますね。
ヤニス選手はFG%が異次元ですね。2023-2024シーズンのヤニス選手のFG%は61.1%ですが、これは平均得点が20点以上の全選手含めて1番高いです。
またTS%もフォワードの中では1位、全選手の中では二コラ・ヨキッチ選手に次いで2位です。
ヤニス選手は1試合当たり平均10.7本のフリースローを打っており、これは平均得点が20点以上の選手の中で2番目に打っています。そしてFT%は65.7%でこれは平均得点が20点以上の選手の中で最下位の数字です。(FT%が60%台なのはヤニス選手とシェングン選手のみで、シェングン選手のFT%は69.3%)
そんな中でTS%がヨキッチ選手に次いで2位と言うことは、FTAに0.44がかけられているとはいえとんでもないことです。
ジョエル・エンビードとリーグ平均を比較
左図はセンターの平均値とジョエル・エンビード選手のスタッツを比較している図です。これを見ると2P%とFG%が平均よりも低く、それ以外のスタッツは平均を上回っていますね。
エンビード選手は2023-2024シーズンは怪我の影響で39試合しか出場していないので得点王には選ばれませんでしたが、平均得点は34.7でこれは得点王のドンチッチ選手よりも上です。
そしてエンビード選手はFT%がめちゃめちゃ高いですね。2023-2024シーズンのエンビード選手のフリースローに関するスタッツは
FT%:88.3%
FTA:11.6
FT:10.2
ですが、FT%は全センターの中で6位(エンビード選手より上の5人の選手はFTAが1.3以下)、FTAとFTは全選手含めて1位でした。つまりリーグで1番フリースローから得点をしているということです。
二コラ・ヨキッチとリーグ平均を比較
左図はセンターの平均値と二コラ・ヨキッチ選手のスタッツを比較している図です。これを見ると全てのスタッツで平均を上回っていますね。
これを見ると全て満遍なく高い数値を持っていますね。特にTS%は65.0%ですが、これは平均得点が20点以上の全選手の中で1番高いです。
ヨキッチ選手はエース選手なので当然ディフェンスに厳しいくマークされると思いますが、その中で20点以上得点しかつ最も効率よくシュートを決めているということで、さすがMVPです。
おわりに
いかがでしたか。
今回の記事ではNBAのスタッツについて解説しました。
今後もこのようなNBAに関する記事を書いていきます!
最後までこの記事を読んでくれてありがとうございました。
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このブログでは経営工学を勉強している現役理系大学生が、経営工学に関することを色々話していきます!
ぼくが経営工学を勉強している中で感じたことや、興味深かったことを皆さんと共有出来たら良いなと思っています。
そもそも経営工学とは何なのでしょうか。Wikipediaによると
経営工学(けいえいこうがく、英: engineering management)は、人・材料・装置・情報・エネルギーを総合したシステムの設計・改善・確立に関する活動である。そのシステムから得られる結果を明示し、予測し、評価するために、工学的な分析・設計の原理・方法とともに、数学、物理および社会科学の専門知識と経験を利用する。
引用元 : 経営工学 – Wikipedia
長々と書いてありますが、要は経営、経済の課題を理系的な観点から解決する学問です。